Monday, February 22, 2016

PM2.5、かすむモンゴル 首都の人口増、石炭で暖房

「草原の国」モンゴルの首都ウランバートルが、微小粒子状物質PM2・5による大気汚染に悩んでいる。
現地に入ってみると、北京の汚染に慣れた記者も絶句するほどの深刻さ。隣国の首都を大きく上回る汚染の背景には、政府の対策の遅れがあった。

■マイナス30度の朝、50メートル先見えず

 ウランバートルのバイヤンホシュ地区。なだらかな坂に沿って木造の民家とモンゴル伝統のテント式住居「ゲル」がひしめく。

 2月2日朝、マイナス30度の寒さの中、職場や学校に向かう人々が行き交っていた。どこにでもある朝の風景だが、異様なのは、晴天なのに一帯が白い霧のようなものに覆われ、50メートル先も見えないことだ。焦げたようなにおいも鼻をつく。

 記者が北京から持参したPM2・5濃度の携帯用測定器を取り出すと、数値が一気に上昇し、表示できる上限の「999」に達した。メーターが示すのは1立方メートル当たりの濃度(単位はマイクログラム)。仮に1千だとすると、日本の環境基準値の28・6倍にもなる。PM2・5の汚染が深刻な北京では、500を超えると大きな話題になるが、同地区では冬の朝晩、こうした状況が日常的なのだという。

 「ウランバートルの大気汚染の8割は、ゲルなどでたかれるストーブが原因です」。モンゴル気象環境検査庁環境検査部のバトバイヤル部長が説明した。

 ウランバートルは、モンゴルで市場経済が導入された1990年代から人口が急増。とりわけ、深刻な大雪害が起きた2001年以降、草原を離れた遊牧民らが続々と定住し始めた。99年に76万人だった市の人口は14年に約136万人になり、国の人口の約45%を占めるまでに増えた。

 その多くは貧しく、燃料は安い石炭を使う。冬の朝晩、首都の大気が白く煙るのは、彼らが一斉に炊事をし、暖を取るからだ。

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