Monday, September 23, 2013

塩を売って緑を買う男の挑戦~(有)バンベン 内モンゴルに緑を

内モンゴル産の岩塩を日本に卸す(有)バンベン(福岡市博多区)の坂本毅社長。同氏が1991年に青年海外協力隊として派遣されたのが中国・内モンゴルのオルドスという街だった。かつて草原だった場所は砂漠化し、黄砂の発生源となっている。「第2の故郷をもとの姿に戻したい」そんな思いを抱きながら、2004年たった1人で会社を設立。内モンゴルの岩塩などを販売し、売上の10%を緑化に投入するプロジェクトを推進、着実に緑を増やしている。

<砂漠化で死活問題>

内モンゴルとの出会いは青年海外協力隊。もともと日本語教師を目指し、海外で日本語教育に取り組もうと考えていた。青年海外協力隊の派遣に応募し、採用され派遣先が内モンゴルだった。オルドスは首都北京から西に約800キロ。当初はまったくイメージできずに、現地で果たして日本語を学ぶ人がいるのだろうかと不安だったが、現地の高校生に溶け込み、91年から3年間、中国内モンゴルのオルドスで過ごした。最も驚いたのは内モンゴルの草原に対するイメージだ。大草原を馬に乗って駆け巡る。そんなイメージを持っていたが、いざ現地に入ってみると、草原はなく、風が少し吹くと砂嵐が舞った。

羊の放牧により生計を立てる家庭が多く存在する地域。草原がなくなれば、生活はできない。環境問題以上にこれは死活問題である。オルドスは世界的にも、砂漠化の最前線と言われており、環境NGOが90年代からオルドスで活動を開始した。坂本氏は現地在住の日本人として、日本からの植林ボランティアを案内していた。その活動を通じ、「砂漠化は過放牧や過伐採により人的要因で発生したもの。それをまた人の力で元に戻す活動をやってみたい」と思った。しかし、自分には技術も社会経験も足りない。貿易会社に入社した後、JICAボランティアのコーディネーターとして、北京に赴任する。

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