Wednesday, September 19, 2012

[FT]中国アルミ、石炭大手の買収断念 「敵意」に屈服

(2012年9月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国国有大手の中国アルミがモンゴル石炭大手サウスゴビ・リソーシーズの買収計画を断念した。モンゴルは同計画をきっかけに豊富な資源権益を保護する新たな外資規制法を成立させており、中国アルミはモンゴル政界の反対に屈した格好となった。

■規制当局の承認見込めず

中国アルミはサウスゴビ・リソーシーズの買収を断念した(北京の中国アルミ本社)=ロイター

中国アルミがサウスゴビの過半数株式を最大9億2500万カナダドル(9億3800万ドル)で購入し、経営権を握ろうとした計画は、実現すればモンゴルでの中国最大の投資となるはずだった。資源大国モンゴルでは中国国有企業の影響力への懸念が高まっていた。

サウスゴビ買収を阻止するため、モンゴル議会は買収の発表からわずか数週間後に外資規制法を成立させた。

ゴビ砂漠に炭鉱を保有するサウスゴビにとり、買収発表後のこの5カ月間は不運続きだった。政府が同社の鉱業ライセンスを取り消すのではないかとの懸念や世界の石炭市場の低迷を受け、同社の炭鉱は6月末以降休業状態に追い込まれ、香港株式市場に上場する同社の株価下落率は中国アルミが4月に買収を提案して以来、6割に及んだ。

中国アルミはカナダに上場する鉱山会社ターコイズ・ヒル・リソーシズ(旧アイバンホー・マインズ)からサウスゴビ株を最大60%購入するはずだった。

ターコイズ・ヒルは3日、モンゴル規制当局が同計画を承認する可能性が「極めて低い」ため、中国アルミへの保有株売却を断念したと発表した。

■対モンゴル投資の政治リスクが浮き彫りに

モンゴルの新たな外資規制法により中国アルミのサウスゴビ買収には議会の承認が必要となるが、アナリストや業界関係者は承認されないだろうとみていた。中国アルミがサウスゴビの買収を断念したことで、対モンゴル投資における政治リスクが浮き彫りになった。

サウスゴビのアレクサンダー・モリニュー最高経営責任者(CEO)が発表した声明によれば、同社は中国アルミの買収提案後、モンゴル規制当局の「敵意」に直面したという。モンゴル鉱業省はサウスゴビの鉱業ライセンスを差し止めると脅し、汚職防止捜査の一環として同社への強制捜査を実施。規制当局による承認の問題や世界の商品市場の変調を受け、サウスゴビがモンゴルに保有する鉱業ライセンスをオーストラリア企業に約3000万ドルで売却する計画も破談した。

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