Friday, February 8, 2013

国民の2割は115円で日々しのぐ-高級ブランド出店のモンゴル

2月5日(ブルームバーグ):モンゴルの炭坑で働くサパールさんは毎日12時間、大草原地帯にある立坑から低品質の石炭を運搬している。

中国最大のコークス用炭の供給国となったモンゴルは2011年に17.3%成長を達成。鉱山ブームに便乗してフランスのLVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンなどの高級小売り各社はモンゴルの首都ウランバートルにも出店、店頭では4500ドル(約42万円)のハンドバックも売られている。23歳のサパールさんがこうした店舗に立ち寄ることはない。

モンゴルへの投資で最大手の英・オーストラリア系のリオ・ティント や米ピーボディ・エナジー三井物産 といった企業は資源輸出の拡大を通じ、高成長の勢いを維持したしたい考えだ。だが人口300万人のこの国の2割の人々は1日1.25ドルで暮らしている。

わずか10年での爆発的な経済成長は、仏製ハンドバックを買い求める層と冷たい岩盤から手掘りで石炭を取り出す人々との格差を大幅に広げた。社会不安の懸念が高まるとともに、利益配分の拡大を求めるモンゴル政府は鉱山事業をめぐる交渉を仕切り直そうとしている。その矢面に立たされているのがリオ・ティントだ。

プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社のオリゴ・パートナーズMGLの共同出資者デール・チョイ氏(ウランバートル在勤)は、モンゴル国民の大半が大型鉱山事業に不満を抱いていると指摘。「国民が恩恵に直接あずかっていない。国全体としては利益を得ており、税収も増えているが、国民には実感がない」と述べ、憤りの感情が高まっているとの見方を示した。

すしバーやBMW

金・銅鉱山や炭坑ブームで「マインゴリア」と呼ばれるようになったモンゴルでは、すしバーが増え、ホテルには1泊3500ドルのスイートルームも登場。ドイツの高級車メーカー、BMWのディーラーもお目見えした。国民は職を求めてウランバートルに向かう。全人口のほぼ半分が首都に集中しているが、住民の約半数は水道もないゲルと呼ばれる伝統的な移動式住居に住んでいる。

エルベグドルジ大統領はリオ・ティントがモンゴル南部のオユ・トルゴイ鉱山で手掛ける産金・産銅プロジェクトへの政府の関与を高めるべきだと明言。政府がウェブサイトに4日掲載した声明によれば、1日の議会で大統領は「政府がオユ・トルゴイ鉱山事業の問題を自らの手で扱うことが重要だ」と述べた。

原題:Mongolia $1.25-a-Day Labor Amid $4,500 Handbags SpursDiscontent(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Yuriy Humberyhumber@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jason Rogersjrogers73@bloomberg.net更新日時: 2013/02/05 12:54 JST

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