Friday, October 26, 2012

【私論 エネルギー・環境戦略 日本への期待、現状と課題】豊かな資源活用に協力を モンゴルのオスゴンバータル氏

東京電力福島第1原発事故後、風力や太陽などの再生可能エネルギーが、原発に代わる重要なエネルギー源として注目され、企業や地方自治体にさまざまな動きが出ている。世界的に急拡大するその現状や課題、日本への期待などを米国、欧州、アジアの3人の専門家に聞いた。

豊かな石炭や石油などの地下資源が注目されるモンゴル。だが、同国立再生可能エネルギーセンターのオスゴンバータル・ジャンバルジャムツ所長は、モンゴルは再生可能エネルギー資源も豊かで、アジア諸国への貢献が可能だという。

―モンゴルの再生可能エネルギー資源は。

「国土が156万平方キロ余りと広く、人口密度が小さいモンゴルは、風力や太陽光といった地上のエネルギー資源もとても豊かだ。環境への影響が大きく、やがては枯渇する地下資源だけでなく、枯渇しない地上の資源にも注目してほしい」

―具体的には。

「米国の研究機関の試算ではモンゴルの風力発電の可能性は11億キロワット余りと膨大で、日本の10倍近く、中国の資源量に匹敵する。特に中国国境に近い南部の資源が豊かだ。ゴビ砂漠の周辺は風力だけでなく、太陽光の資源も豊かで、世界有数の規模と適地を持っている」

―開発の現状は。

「国内では太陽光発電所や風力発電基地の建設が進んでいるが、モンゴルは国家予算も産業の規模も小さいので、資源は豊かでもまだ開発はそれほど進んでいない。今、取り組んでいるのは独立した太陽光発電装置を国内各地に建設する事業で、これが地域の電力供給に貢献している。1999年から、世界銀行などの支援も受け、国家プロジェクトとして10万台の小型の家庭用太陽光発電装置を配布する事業を進めている。これは地方の貧困解消に大きく貢献しており、年内に10万台の目標が達成できる見通しだ」

―国の支援策などはあるのか。

「2007年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入が決まるなど、制度面の整備も徐々に進んでいる。2020年に電力の20~25%を水力発電も含めた再生可能エネルギーでまかなうという国の目標も決まった。国際協力でゴビ砂漠に巨大な太陽エネルギー利用基地を建設する計画もある」

―国際協力が必要なのか。

「モンゴルは資源が豊かだが、資金力に乏しいので、海外からの投資や国際協力での開発が欠かせない。豊かな風力資源などには中国企業などの注目が高まっており、一部の日本企業も関心を持っている。多くの提案があり、今後、急速に進むと期待している」

―日本への期待は。

「中国も潜在的なパートナーだが、私は日本の技術力や資金力に注目している。ソフトバンクの孫正義(そん・まさよし)社長が、モンゴルから中国、韓国などを経て日本まで送電網を建設する構想を打ち出したが、これは夢物語ではないと思う。モンゴルには、日本などのアジア各地の大消費地に電力を供給できるだけの潜在力がある。資源をめぐって不安定化している東アジアの平和構築にも貢献できる」(聞き手 共同通信編集委員・井田徹治)

OSGONBAATAR JAMBALJAMTS

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