Friday, October 26, 2012

モンゴルに行った

モンゴルに行った。目的は米国の歯科医師ウェストン・プライスが食生活の変化がヒトに及ぼす影響を記録した「食生活と身体の退化」(恒志会編)の実態を、この目で確かめるため。

ゲルという移動式テントに住む遊牧民たちは、羊の内臓を煮たものを食べていた。チーズはとてつもなく堅く、かじった後も口をよく動かさないとのみ込めない。口の中を見た歯科医師は「虫歯はないし、歯並びもいい。見事なもんだねえ」

一方、首都ウランバートルの保育園児たちは、きれいな服と裏腹に口の中は虫歯だらけ。まさに「虫歯の洪水」状態で、日本同様、今後乱ぐい歯や体の不調などで悩む人が増えるであろうことは容易に想像できた。

昔に戻れというのは無理なこと。だが、将来訪れる災厄を伝え、警鐘を鳴らすことはできよう。志ある医療関係者が、足しげくかの地に行く理由が分かったような気がした。(佐藤弘)

=2012/10/10付 西日本新聞朝刊=

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