Wednesday, March 27, 2013

腎移植患者、県内で出産 モンゴル人ジャグダルさん、日本の医療に感謝

筑波大大学院(つくば市)留学中に慢性腎不全となり、2009年に水戸医療センター(茨城町桜の郷)で生体腎移植を受けたモンゴル国籍のジャグダル・バトラルザヤさん(35)が27日、県庁で会見し、女児出産を報告した。モンゴルでは腎移植患者の出産例がないため再来日し、水戸市内の病院で出産した。ジャグダルさんは「日本の医療のおかげで新しい命を授かった」と喜びを語った。

女児は今月2日に誕生し、ニンジンちゃんと命名された。名前はモンゴル語で「優しい子」の意味という。ジャグダルさんは「日本の素晴らしい先生たちの優しさがこの子に受け継がれれば」と、感謝の思いを名前に込めたことを明かした。

女児を取り上げたのは、岩崎病院(水戸市笠原町)の岩崎まり子医師と助産師の篠塚祐身さん。ジャグダルさんによると、モンゴルでは「赤ちゃんに最初に触れた人のオーラが子どもに宿る」とされ、会見に同席した夫のバヤラー・ボルドバートルさん(36)は「できれば、(2人のような)医者になってほしい」と、将来への期待を膨らませた。

ジャグダルさんは筑波大大学院の留学生として来日していた07年に慢性腎不全と診断され、医療環境の乏しいモンゴルでは人工透析治療が普及していなかったため、移植医療が進んでいる水戸医療センターでの手術を決断した。09年にバヤラーさんから提供された腎臓を移植してモンゴルへ帰国し、その後、妊娠した。

同国内では腎移植患者の出産はほぼ不可能とされていたことから日本での出産を希望し、同センターの依頼を受けた岩崎病院での出産が実現した。

ジャグダルさんは会見で、「私が元気でいられるのも、赤ちゃんが生まれたのも、日本の人たちが助けてくれたから。信じられない。声が出ないほどうれしい」と笑顔で語った。

腎移植手術を担当した同医療センターの湯沢賢治医師によると、移植を受けなければ、妊娠するのも難しかったという。

湯沢医師は「外国人の腎移植患者が国内で出産するケースは例がない。彼女が腎移植した結果、こうして新たな命が生まれたのは大変喜ばしい」と、移植医療の重要性を訴えた。

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