やっぱり羊肉、ミネラル豊富な岩塩がポイント
ゲルの内部を再現した店内。馬頭琴奏者の店長手作りという。モンゴル帝国創始者、チンギス・ハーンの肖像画も民族衣装を着た舘本さんモンゴル風そばサラダ。右は牛乳酒
モンゴルといえば白鵬や日馬富士といった大相撲の横綱らが、まず頭に浮かぶのではないだろうか。彼らはモンゴル国(外モンゴル)出身で、角界にはこの国から来日した人が多い。同じモンゴルといっても、今回紹介するのは中国の内モンゴル自治区のグルメ店である。
大阪・城東区にあるモンゴル料理店「モンゴルゲル」。前身は1995年に開いた店で、馬頭琴ばとうきん奏者が店長を務めたあとを、舘本優慧まさえさんが引き継いでいる。舘本さんは、父親がボランティア活動で内モンゴルに井戸掘りや植樹をしていた関係で、モンゴル人と多く知り合いになった。その後、社会人になって内モンゴルにも数多く行き、現地でのモンゴル料理に接して「おいしい。ロバ肉も食べました。牛と豚の中間の味かな。いろいろ家庭料理など食べたが、まったく違和感がない」という。
香辛料をあまり使わず、ミネラル豊富な岩塩がポイントになる。舘本さんは居酒屋や弁当屋で働いた経験も生かし、店の運営にすんなり入っていけたようだ。
靴を脱いで店内へ。モンゴルの移動式住居「ゲル」の内装だ。壁にはチンギス・ハーンの肖像画が飾られ異国情緒に浸れる。
健康的な乳酸菌の「馬乳酒」や「牛乳酒」
軟らかい羊肉の「チェンスンマハ」(左)、「ボーズ」(右)と右上は馬乳酒
モンゴル岩塩焼飯。右はハラ茶JR鴫野駅を降り、今里筋を渡ってすぐ。入り口の横には大きな石が置いてある
「モンゴル風そばサラダ」は細切りのキュウリとニンジンをソバに絡ませた一品。しょうゆ味にゴマ、唐辛子が少し効いた、あっさり味。内モンゴルのソバは日本に多く輸入されている。「牛乳酒」(アルコール16度)のロックを飲んだ。少し甘く、お酒という感じがしない。「ボーズ」は小籠包ショウロンポウに似ているが、肉まんといったところ。現地では専門店がある人気メニューだ。「赤い食べ物」といわれる肉料理として「チャンスンマハ」をもらった。羊肉を塩ゆでした家庭料理で、素朴というか、素材の味が楽しめる。軟らかく、かむほどに甘みを感じる。これはうまい。
羊肉は現地から輸入できず、オーストラリア産か北海道産。塩は内モンゴル産の岩塩だ。一緒に「馬乳酒ばにゅうしゅ」を飲んだが、まるで乳酸菌飲料のよう。やはり乳酸菌の働きで健康にいいとも。「モンゴル岩塩焼飯」も注文。チャーハンのようにパラっとはしていないが、具だくさんで満足した。プーアール茶に似た冷たい「ハラ茶」と一緒に。お茶といえばモンゴル風ミルクティーの「スータイ茶」が有名だ。
内モンゴルには魚料理がなく、小麦と米が主食。馬以外の肉を主食並みに食べているそうだ。特に羊は1頭をあますところなく料理する。
4人以上なら3時間の食べ放題(1人2800円)や飲み食べ放題(同4800円)があり、会社の集まりなどグループにはもってこいの店となっている。「デール」と呼ばれる民族衣装を着て、モンゴル人になった気分で食事ができる。ひょっとしたら馬頭琴の演奏があるかもしれない。
(元読売新聞大阪本社メディア編集部記者 田中正雄)
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