石炭輸出の低下には、主要な買い手である中国の経済の減速により鉄鋼生産が減少し、世界市場における石炭価格が低下したことが関係している。
今年の始め、ウムヌゴビ県のガシューンスハイト、シベーフレンの国境から輸出する石炭の量を3,000万トンと見込んでいたが、最新の情報では1,850万トンにとどまるとのこと。
石炭輸出の減少で、国家予算への歳入が減ったことにより、今年の総選挙後に召集された国会では、予算の見直しを行い、一部の税額を増加させることを決定した。
2012年にモンゴルの鉱山業界で起こった空白期間
何よりもまず、鉱山投資家の注目を集める2つの巨大プロジェクトであるオユトルゴイ、タワントルゴイ鉱山の利益の分配が始まった。
戦略的パートナーを選定すると言っていたタワントルゴイの入札は難航し、戦略的パートナーを選定することすらおぼつかなくなっており、挙句の果てには、オペレーター企業を選定することにより、モンゴル企業が独自に採掘を行う新しい出口を模索し始めている。
タワントルゴイの心臓部といわれる東ツァンヒ鉱床をモンゴルが、具体的にはエルデネス・タワントルゴイ社が採掘を行い、将来的に採掘される石炭を担保に中国の国営企業であるチャルコと2億5,000万ドルの前払い契約を締結できたが、世界市場での石炭価格の低下により、採掘を停止し、チャルコとの再交渉の道を模索している。
しかし、前払い金としてすでに受け取った2億5,000万ドルで今後の採掘条件を整備すべきだった3,400億トゥグルク以上のお金がモンゴル人にばらまかれて消えてしまった。
この政権公約の実現の強要により、本来なら採掘が行われているべきはずの東ツァンヒも資金繰りが困難な状態に陥っている。l
オユトルゴイの場合、モンゴル人は明るい見通しを語るが、最終製品を作る工場の操業開始を3ヶ月延期した。
これには、中国から電力を購入する契約に手間取ったせいだと言われているが、オユトルゴイ契約を修正すべきだという資源ナショナリストの政治家らの抵抗が現在でも続いていることも影響していると言わねばなるまい。
鉱山分野での過ちを修正する目的で政府が行っている対策の1つがこれである。
これ以外にもモンゴルの政策決定機関である国会の選挙が今年行われたことも、鉱山分野に空白期間をもたらしたもう1つの原因である。
新しい国会、新政府がどのように構成され、鉱山分野にどのような政策を掲げるのか明確になるまで、多くの鉱山企業が待たされ、空白期間が発生した。
また、前政権時に出された「戦略的業種への外国投資管理法」により生じた外国投資家の警戒感は依然続いている。
人口が少なく、国土が広大で、豊富な資源を持つモンゴル人にとって、戦略的業種に政府の管理を導入することは適切な一歩となったと言われているが、外国投資家を警戒させてしまったと、一部の経済学者や外国人アナリストは述べている。
ともかく、この法律により、モンゴルのゴビ地域から石炭を採掘しているサウスゴビ・サンズ社と株式譲渡の交渉を行っていたチャルコ社は計画の見直しを余儀なくされ、東ツァンヒの石炭を単独購入する契約を進めていた中国の国営企業による独占の可能性を阻止できたと言われている。
しかし、この法律の一部の条項、たとえば監視を行う投資額を1,000億トゥグルクとしていたものを、8億ドルにするなど、変更が審議されている。
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