Friday, December 14, 2012

ウランバートルは平壌を対話に引き込む

北朝鮮とその近隣諸国の関係を整える仲介役としてのモンゴルの働きに専門家らは多大な関心を払っている。11月、ウランバートルでは、既に北朝鮮による日本人拉致の問題に関する日朝協議が行われている。モンゴル政府は「北朝鮮の核開発プログラムに関する6者協議を再開することについても、協力する容易が出来ている」と宣言している。

11月半ばにウランバートルで行われた協議の第一の特徴は、初めて外務省高官級の会合が行われた、という点にある。1970年代から80年代にかけて拉致され、北朝鮮に強制的に拘束されている日本人市民の問題に関しては、東京がこれを掲げてから既にだいぶ経つ。ウランバートルが、この日朝関係において極めつけに鋭敏な問題を討議する場を提供することを決めたのは、見上げたことと言う外ない。春、モンゴルでは、東京と平壌の代表者会議も行われた。

しかし、残念なことに、この複雑な状況においては、全てのことが仲介者の外交技術で解決できるわけではない。既にウランバートルでの会合で、当事者らは対話を続けることで合意した。しかし、平壌による「人工衛星を搭載した」弾道ミサイルの発射が東京の逆鱗に触れた。東京は目下、より進んだ対話には進めない、という考えである。一方モンゴルは、どうやら、今後も北東アジアの緊張を緩和するべく、多数当事者の共同の努力の中で仲介者の役を果たしていこうと考えているようだ。日本人拉致問題に関する討議の終了後、既にウランバートルを北朝鮮最高人民会議の崔泰福議長が訪れた。崔泰福議長とモンゴル高官の会合で討議されたのは、経済問題や支援提供だけではなかった。会合を総括しての公式的な文書では、地域における平和と安定性のために協力していくという問題に関しても討議が行われたことが示された。

ロシア科学アカデミー極東研究所のセルゲイ・ルジャニン副所長によれば、ウランバートルと平壌の相互信頼のレベルは相当に高い。北朝鮮は、北朝鮮を孤立させるのではなく対話を続けていこうとするモンゴル政府の立場を評価している。大きな問題は、モンゴルのイニシアチブに中国が応えるかどうかということだ。中国はここに至るも6者協議の主人であり主要な「モーター」であることをもって自ら任じている。

―中国にとって、モンゴル側の存在感の高まりは思いがけないことであった。しかしもしも北京が6者協議をモンゴル国内で行うことを好むのなら、おそらく、中国側は反対しはしないだろう。そしてもしもモンゴルが6者協議プロセスに完全には参加しないなら、モンゴルはこのプロセスの再開の保障において純粋に肯定的な役割のみを演じるだろう。そして、疑いもなく、地域におけるモンゴルの立場は向上する。

北朝鮮によるミサイルの発射によって情勢が緊迫化したことを背景に、平壌を対話に引き込もうとするあらゆる試みが有益なものとなった、とルジャニン博士は見なしている。地域の安全に関する対話においてより活発な立場を占めたいというモンゴルの願いもまた、賞賛される。これは北東アジアに集団安全保障システムを構築することに向けた現実的な一歩なのである。

No comments:

Post a Comment