Wednesday, December 26, 2012

多摩動物公園:「アジアの平原」来年度新設 野生の生息環境再現 モウコノウマ中心、オオカミゾーンも /東京

都は13年度、多摩動物公園(日野市)のアジア園内に野生の生息環境を再現する「アジアの平原」(仮称)を新設する。ウマの中で現存する唯一の野生馬とされるモウコノウマ(モンゴル語でタヒ)やオオカミのゾーンなどを整備し、両動物が一緒に生活しているように見せる仕掛けも予定している。動物好きには新たな楽しみが増えそうだ。【斉藤三奈子】

多摩動物公園は81年、国内で初めてモウコノウマの飼育を始めた。8頭の繁殖実績(現在5頭が飼育)があるが、都は11月、日本との外交樹立40年を迎えたモンゴルとの間で共同研究などに関する覚書に調印。スイスのウィルダネスパークなどから新たに4頭(雄1頭、雌3頭)が寄贈されることになった。

都はこうした動きを背景に、野生復帰の活動が各地で進むモウコノウマを中心とした新たな施設を計画。アジア園内の雑木林の一部を切り崩し、飼育中の12匹のヨーロッパオオカミなどと合わせ、野生環境をイメージした展示にしたい意向だ。そのため、展示場所を隔てる柵は設けず、両動物が共に生活しているように映る工夫を凝らすという。

モウコノウマは1879年、ロシア人探検家がモンゴルのゴビ砂漠で発見。アジア内陸部の平原から欧州にかけて広く分布していたが、乱獲などで1960年代後半を最後に野生下で絶滅した。しかし、捕獲した中から動物園などで繁殖し、欧米の施設を中心に約1500頭まで回復。92年にはモンゴルのホスタイ自然保護区(約5万ヘクタール)などに「里帰り」するまでになった。

モウコノウマは1頭の雄と複数の雌、その子どもたちで群れをなすことで知られる。都建設局の滝澤達(さとし)公園管理担当部長は「生息地の環境を参考にした新施設で野生復帰に貢献し、モウコノウマの保全に関心を持ってほしい」と話している。

〔都内版〕

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